他業種に学ぶ歯科医業 |
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最終更新日 2012/03/21 |
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★ 110730: 明細書発行の目的と意義
【他業種に学ぶ歯科医療】
定刻発車(日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?)三戸祐子 著 新潮社版
これは、表題の通り「日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?」を記載したもので、その由来は江戸時代の参勤交代や御伊勢参りにつながるとは目からうろこである。
まぁ、そういった鉄チャン的な視点はおいておいて、こういった何気ない他分野の話しが意外にまわりまわって影響していることは多いようだ。
161頁に以下の下りがある。【列車ダイヤは、乗客に対してはサービスの内容を約束、保証する「商品仕様書」であるが、鉄道企業によっては「システムの設計図」であり、現場の鉄道員に対しては、具体的な輸送サービスの供給量や質を指定した「生産指示書」である。そこには鉄道を社会においてどう機能させようとしているかについての「鉄道企業の意思」が表現されている。】
この場合の「列車ダイヤ」に相当する歯科医療のアイテムはいわゆる「青本」なんだろうが、はて果たしてそうなのだろうか?鉄道において「列車ダイヤ(時刻表)」は利用者向けのアイテムで、運行関係者向けのアイテムとしてはいわゆる「スジ」という物がある。アバウトな列車ダイヤ(時刻表)をもとにしては到底満足な運行は望むべくもない。そうなんです、歯科医療における「青本」は本来、鉄道における「スジ」に該当する物だと思うんですよ。しかし、それを利用者である患者さんに「明細書」という名の下に公開することにはちょっと疑問があるんですよね。まさに、「スジ」を乗客に公表するみたいなもんですからね。「スジ」は鉄ちゃんには興味があるでしょうが、一般の利用者にはまったくチンプンカンプンですよね。だから、一般の人にもわかりやすい時刻表というものが必要で出来たのでしょう。
ですから、歯科医療において本当に患者さんに治療内容がわかるように公開するとしたら、時刻表に該当するようなデータを作ってそれで公開すべきと思いますね。
例えば右上1番のMLにCRした場合
@ 充形(120)+充填(148)+材料料(28) → ×
A 右上1番の詰め物(296) → ○
ということですね。1歯の単純な治療であれば@でもわかりやすいかとは思いますが、多数歯の治療や、充填+修復物+義歯のように多用な治療が1枚の明細書に出てきた場合にはまったくわかりませんね。
でも、そういった新しいシステムを作るには手間がかかりますね。そういったことを踏まえると現在の明細書の発行というシステムは評価に値すると思います。
なんたって、医療費の抑制、つまりぶっちゃけ架空請求の抑制という明細書発行の真の目的のためには有用でしょうからね。
★ 091118: 需要とは?
家電製品のエコポイントにしろ、エコカーの減税や補助金にしろ、そもそも必要な需要を前倒しする効果はあるものの、新しい需要に結びつくかは疑問だ。
もっとも、この需要に対する考え方も様々で、需要が伸びるということはある意味「要らないものを買う」という結果になりかねず、大量生産大量消費という考え方の延長にある。
トヨタでは2009年の国内の新車マーケットを350万台ととし2007年と同等としているが、2010年はそれよりも100万台少ない250万台程度と予想している。これは、補助金の効果が無くなって今年の反動で来年のマーケットがしぼむという見方のようで、政府でもエコポイントは9カ月、エコカーの補助金は6カ月延長する考えを示しているが、さていつまでこういった助成が必要なのか?ある意味、これらの助成金は産業界の覚醒剤のようなものではないのか?一度やったらやめられないということですね。
そもそも、物が売れないということは、物を作らない、ひいてはCO2の産出量の削減という結果となり、大きな意味では良いこととも思える。地球のため、いやその深層にある人類のため、産業構造の転換をはかる時代になっているのかもしれない。
これは、単に産業界のみならず、歯科医療界にも通じる事だろう。かつての「削っては詰めての繰り返し」の医療から「予防」にシフトしつつある歯科医療界なのだろうが、少なくとも保険診療を前提にすると、こういった流れは「歯科医療費のマーケットの縮小」という結果となっている。しかし、いわゆる顧客満足で考えれば「削って詰める繰り返し」の医療よりも「削らなくて良い」医療の方が良いに決まっている。大きく構えれば、公共の福祉のためには「虫歯や歯周病が根絶されて、歯科医がこの世から消える」様な世の中の方が良いに決まっている。これは、交通事故にも言える。交通事故が無くなれば、車を修理する業者が困る?!このような考え方はそもそもあり得ない。歯科医も自動車の修理工場も、その世の中の必要性において便宜的に存在しているに過ぎないのである。そして、その考えはあらゆる業種に共通していえることで、家電メーカーや自動車メーカーも逃れるすべは無いのだろう。
このように需要は便宜的に存在するもので、それを助成金といった手法で活性化するのは「覚醒剤を飲む如し」となる可能性があることに注意しなければならない。
★ 090918: 多数決は民主主義?
プレジデントの2009/10/5号の20頁に掲載してある「経営時論」の中で、『クラレの創業者、大原孫三郎氏は、10人の役員のうち、一人か二人しか賛成しないときが物事を成し遂げる好機であり、過半数が賛成するようになったら手遅れで、大多数が賛成するときにはとっくの昔に手おくてになっていると語っている』と紹介されている。
たしかに取締役会の賛成多数で決定されるわけであるが、このような経営戦略にかかる決定を賛成多数で決定することが果たして良いのか?反対が多くてもその決定が将来的に正しいとは限らないというケースは世の中に沢山存在する。
と同時に、民主主義は賛成多数とよく言われるが、賛成多数が公平な決定と言えないケースはままある。
たとえばこの様な例である。
# ある町内会で、家庭への火災報知器の義務化にむけて、特別会計から各家庭に火災報知器の購入資金を補助することになった。その議案に対して、すでに個人の負担で火災報知器を設置している家庭から、「町内会の特別会計は、町内会館の建て替えや保守と言った町内の公共的な用途にあてる資金で、個々の家庭の利益につながる用途には使うべきでない。」という意見が出され、せめて支給するならば「今まで設置を終えた家庭にも等しく補助すべきである」と加えられた。しかし、議決は「賛成多数で議案を可決」。その内容は、「今後、町内会を通して町内会が指定した業者から指定した機種を購入した家庭のみに支給する」というものであった。ではこうした議案がさしたる抵抗もなく可決されたか。それは、火災報知器を設置していない家庭が多く、この補助から恩恵を受ける家庭が多かったからである。たしかに、全てに公平な制度などは難しいが、今回の件などは「火災報知器を購入する家庭に、過去に遡って等しく給付する」という方法でいいはずだ。特に「町内会が指定した業者」などと決めてあること自体、えっ!リベートでも貰ってるの?と疑われかねないことだ。このような事は世の中に沢山存在する。民主主義の基本は多数決にあるが、ケースによってはその決定が恣意的に傾くことは多々あるようだ。
■ ラッキーはアンラッキーの始まり? 050627
先日、長距離走行を前にGSで給油したついでに車の点検をしてもらった。主にエンジン内とタイヤの空気圧見て貰ったのだが、特段の問題はなかった。約160kmを約3時間かけて走り抜き、ホテルの駐車場に車を入れてフト足下を見ると、なんか妙に光っているものがある。よく見ると、右前輪のタイヤの空気穴のバルブの色であった。そうなのでる、バルブキャップがはずれていたためにそれが太陽の光を浴びて反射して光っていたのである。そしてその光り方はキャップがはずれてまだ期間がたっていないことを示しているのである。
そこで、ねんのため全部のタイヤを調べてみると、左側のタイヤにはきちんとキャップがなされていたが、右側の前後のタイヤのバルブキャップが両方とも見事にはずれていたのである。「えっ、どこではずれたのだろう?」、途中寄ったのはGSを除けば「道の駅」と「コンビニ」だけである。白昼混雑している、「道の駅」や「コンビニ」で御丁寧にタイヤのバルブキャップをはずす酔狂な人がいるとは思えない。とすると、どこだろう?考えられるのはGSくらいしか無い。
もともとGSは少人数で多くの車に対応しており、特に一度にどっと車が入るとてんてこ舞いとなる。そういった時に事件はおきるのである。先日は「ハイオク満タン」と頼んだのに「レギュラー」を入れられた。途中で気がついてハイオクに切り替えたが、レギュラー分は無料サービスにしてくれるとのことで、この程度なら「ラッキー」の一言である。たぶん、タイヤの空気圧点検でバルブキャップをはずした状態で、他の車の給油にとりかかり、戻った時にはバルブキャップをはずしていたのを忘れてしまったのではないかと思う。まぁ、あくまでも推定の話なのだがね。
でも、人ごとではありません。歯科医療現場でもこういう事がおこりえるのですね。何台ものユニットに患者さんを寝かせて掛け持ちで治療していると、「誰に何を話したか忘れてしまう」「誰にどこまで治療したか忘れてしまう」「誰のカルテをどこまで書いたか忘れてしまう」、など色々なことが考えられます。そしてそういうときにこそ医療事故はおきるものです。GSでの出来事を他山の石とせず、我が身に置き換えて注意したいものである。これも「他業種に学ぶ歯科医業」の一つである。そして「ラッキーはアンラッキーの始まり」であった。
■ 一声が大事 030516
平成15年1月14日の岡山地裁判決に、「即時重合レジンの硬化熱による火傷」事件がある。
内容は詳細を参考として頂くとして、根本は訴訟の根を断つことです。
つまり本件に於いては、歯肉や歯髄に対する火傷を防ぐ手だてといったところに着目すべきで、判決がどの様なものであるかは二の次です。
話は変わりますが、私が時に訪れる床屋さん。
床屋で髭を剃るときに蒸しタオルをあてるのは皆さんも御存知でしょうが、その時に必ず、「熱かったら教えて下さい」という一言を言う。
その他に、椅子を倒したり起こしたりするときにも、「椅子を起こします。、、椅子を倒します。」という一言がある。
こういった一言が火傷の防止や、転倒といった事故防止にも繋がるし、不幸にして起きたあとのトラブル防止に役にたつのである。
歯科医療の勉強のネタは診療室や講習会だけで行うことではなく、日常の生活にころがっているのである。
■ 規則に利用されず、規則を利用しよう
ホテルなんかでは、お客が部屋に残したものの処分規定を、法の裏付けをもとにちゃんと作っています。
厳格なホテルでは、お客の飲み残しのビールなども一定時間保存しておくこともあるそうです。それはなぜかというと、法の問題では無くお客のクレームに対抗するためです。
歯科においても、印象を採った患者が未来院となって未装着請求後、再来した時に技工物があって装着するだけで済むか、再印象が必要かはクレーム対策上、重要なポイントです。不適による再製作は別問題ですが。
たとえば、「この間採った、おれの印象で作った技工物はどうなった!また印象をとるのか?」って言われた時に、客観的規則で技工物の管理と保存が行われているかがポイントになるのです。
未装着請求物の保管期間に関する見解は様々です。明快な規則があればそれに従わなければならないのは当たり前ですが、それをあまり短く考えすぎても損することがあります。それらを踏まえてうちでは「医療費の請求時効」にあわせて、3年間保管のルールを適用しています。
3年間請求できると言うことは、3年間返還請求できるということでもありますし、それに対抗しなければなりません。未装着物などさして多く出るものではありませんから、3年分保管しておいてもさしたる量ではありませんからね。
規則に利用されるのではなく、規則を利用し、規則に耐えうるシステムの構築が必要なのです。
■ 現トヨタ自動車社長 張 富士夫 氏の言葉より
現在トヨタ自動車の社長を務めている「張 富士夫 氏」が、1988年にTMMK(トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ケンタッキー)の社長として赴任したときの言葉に以下のようなものがあります。(出典 トヨタ自動車 著)
「現場では、何が起こるかわかりません。僕は何百・何千という現場を見てきていますけど、何もおこらない現場は一つもない。何もおこらないと言うことは、隠しているに決まっている。本気になって、問題点を書き出したら、書ききれないほどあるはずです。人間だって、その日によって調子がいろいろあるでしょう。調子が悪ければ、思うように作業ができないし、ついうっかり何かを忘れることだってあります。・・・中略・・・完璧を期そうと思ったらものすごく原価の高いものになる。・・・中略・・・だから、異常に備えて待ちかまえているんです。異常が出たら、初めて原因を調べる。我々は、原因の後ろに”真因”があると言っています。その真因を追求して、対策をとる。そうしたことを恒久的にやるのが望ましい。そうすると、ラインが一段とステップアップすることです。」
自動車工場と医療機関とを、同類に考えることは不可能ですが、この言葉の中にこそ真実が隠されているような気がしますし、医療事故の本質もここにあると思います。自動車と違い人間の体は代わりがききません。そのため治療上の不具合は無い方が好ましいしあってはなりません。しかし、上記の文章からも解るように、実際は無いのでは無く表面に出ないと言った方が正しいでしょう。そして表面に出た一部の事例が医療過誤として問題となり、場合によっては訴訟問題まで発展します。
医療事故に関しては以下のような心構えが必要です。
(1) 医療事故が起こりにくいような診療システムを作成し、それは人的ミスを補うようなシステムが望ましい。
(2) その上で、医療事故が起こることを前提として備えなければならない。そして、見過ごしやすい事は、医療事故を誘発するような患者の行為(指示どおりに薬を服用しない等)を想定して、それに備えなければならない。
これらの医療事故を防止するための最大のキーワードは「ゆとり」であります。これは「体のゆとり」でもあり「心のゆとり」でもあります。
「空中の巾50cmの橋は渡れないが、巾50mの橋の真ん中の50cm巾の通路は渡れる。」と言う言葉がある。
これは、地上10階建てのビルの屋上どうしに板を渡して渡る場合、巾50cmの板であれば、足がすくんでとてもわたれないが、巾50mの板を渡し、その板上の巾50cmの通路は難なく渡れると言うことです。
つまり、49.5m分の無駄が「ゆとり」を生み、結果として仕事の成功率を上げると言うことである。しかし、このゆとりを生み出す源こそ「コスト」と言う言葉である。コストを切りつめては決してゆとりは出ないのである。
● 元国鉄技師長 島秀雄 の新幹線物語より
元国鉄技師長であった島秀雄の新幹線物語からの引用であるが、「新幹線の成功は目新しい技術によってもたらされたものでは無く、今までの熟成された技術によってもたらされた。」とのこと。とかく我々は、「目新しい治療法や材料」に目が行きやすいが、日常の診療の何気ない成功においては、「今までに確立されて熟成された治療法や材料を抜きには語れない。」と思われる。新技術は、学んだ次の日から取り入れられるものではなく、日常の診療に根付くためには多大な研鑽が必要なのである。以外にこれを忘れることによっておこる医療上のトラブルは見過ごしにできないものである。
お客という者は物の値段や品質もさることながら、サービスを選ぶものらしい。つまり値段や品質がそこそこならばサービスの良い店に集まると言うことである。それでは歯科医院におけるサービスの概念とはどういうものであろうか?元々歯科医業そのものがサービス業と言われており、提供する商品=サービスだと言われかねないが、そのサービスの中のどのポイントに重きを置くかによって、患者の集まる歯科医院になるか集まらない歯科医院になるかの分かれ目なのであろう。さぁ、あなたの歯科医院ではどういった分野のサービスに重点をおいて増患策を考えるのか?
ただ、逆に「客にとって都合の良い商店は危ない」という言葉もある。単に患者の利便性のみで成り立つ歯科医院は、これまた危ないものであり、近くに競争相手ができた時に「ごっそり患者を失う歯科医院」は、こういった単に患者にとって便利な歯科医院と言われている。
あるホテルの新人研修でのこと。
先輩社員が新入社員に部屋のトイレの掃除を指導。
「終わりました。」と言った新入社員に、先輩曰く、「では便器の中で手を洗って見ろ。」と。
言われた新入社員は、いそいそと掃除のやり直し、また「終わりました。」と。
そうしたら、先輩曰く「では便器の中で顔を洗って見ろ。」と。
最後に、便器の水を飲んで見ろと言ったかは知らないが、ようは気持ちの問題ですね。
どのくらいきれいにトイレ掃除をすれば良いか?などという基準はない。
これは一つのたと話で、いくらきれいに洗ってもトイレの水で顔を洗ったり飲んだりはしたくないのが心情。
歯科医院で言えば、いくらオートクレーブで滅菌しても、他の人が抜歯後にうがいをした金属製のコップでうがいができるか?
ということですね。